IAbM総研では、住田孝之氏、鈴木健治氏の許諾を受けて、一問一答で経営デザインシートを構想できるExcelファイルを公開しました。
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中堅・中小企業や、創業者の事業計画やビジョンの構想にご活用ください。事業承継や、過剰債務を乗り越えていく事業計画の構想にもお役にたてたらと考えております。
このExcelファイルで現状とありたい未来、ありたい未来の主力製品・サービスの市場や単価、ありたい未来から逆算するアクションプランを構想することができますので、事業性評価、各種補助金申請や企業Webサイトの構築や見直しなどの骨格となる整理をすることができます。
また、知的資産経営報告書と経営デザインシートを組み合わせたIAbMレポートの作成過程において、このExcelファイルが役立ちます。
IAbM総研では、適宜、企業向けのセミナーを開催し、個別の支援もしてまいります。ご関心あるかたはIAbM総研までご連絡下さい。
また、中小企業診断士など専門家に向けて、このような経営デザインシートや知的資産経営の知見による支援をしていただくための「経営のデザイナー育成コース」も準備しております。こちらにつきましても、ご興味ある方はIAbM総研までお知らせ下さい。
知的資産経営[IAbM]エヴァンジェリスト育成実践コース 8月4日午後の開催報告(3)です。
ブレーンストーミングの第4テーマは、ご支援先の持続性の高さ(知的資本の質の高さ)をアピールするには、どうしたら良いかです。このテーマでアイデアを出し合いました。
第4テーマ 参加者(敬称略)
ファシリテーター IAbM総研主任研究員 堀内 仁
メンバー 安藤 健、神原 哲也(発表)、吉田 高宏
■ブレストテーマ: 当社の知的資産経営報告書で、当社の持続性の高さや、知的資本の質の高さをどうアピールできるか。
第4テーマに関して、今回の講義では、市場がなくなるような変化に対応する企業の力が、「知的資本」であり、知的資本には、自己資本を補完する役割がある、と解説しました。
(a). ダイオキシンの問題で市場が無くなってしまった焼却炉を縮小して、ストーブ製造へ転換した企業。
(b). レコード針の市場縮小に対応して、注射針へ転換した企業。
(c). 印刷業をベースに、Web制作業・広告業への参入に成功した企業。
(d). 3M社のように、事業部ごとに、売上の30%は過去4年間に発売した新商品にする、という社内目標のある企業。
自社製品の市場が縮小し、無くなっても、売上や雇用を持続できているこれらの企業は、自社の知的資本を上手く使えたのです。既存の事業、既存の知的財産権ばかりみていると、その市場が消滅すると、その事業の売上がなくなり、企業が消滅します。
知的資本を活用できる企業は、特定の事業からの撤退があっても倒産せず、持続しています。
しかし、この持続性があることを、ステークホルダーにアピールしていくのは、簡単ではありません。
当社の知的資産経営報告書で、当社の持続性の高さや、知的資本の質の高さをどうアピールできるか、というテーマを事前に準備しました。
とらえどころの無い課題であるため、参加者・ファシリテーターと現場で相談し「持続性を高め、その持続性をアピールする方法」といった方向のテーマに修正して、アイデアを出してもらいました。
■第4テーマの検討成果
第4テーマのグループでは、BCP体制など基本から、継続的な社員啓発、熊谷敦先生からスピーチ頂いたESG投資の視点でのアイデアなどがでました。
さらに、地域社会との関係を深めることが、ご支援先企業の持続性のアピールになる、という発見がありました。
具体的なアイデアを紹介してきましょう。
■BCP(事業継続計画)体制の構築
市場の衰退とは直接関係ないとしても、まず、災害など緊急事態に対して、自社がどう対応するか、計画しておく。
より実践的には、戦争や、大不況などを乗り越えた経験のある人の話を聞いてみると良い。
■ビジネスの日常でできること(1)顧客との関係
安定な収益を確保できる商品・サービスを育成する。
それは、顧客にとって無くてはならない商品・サービスの提供ではないか。
このような安定性を知る目的で、顧客アンケートをしても良い。
■ビジネスの日常でできること(2)外部との関係資産
いざというとき、相談できる外部との関係性を把握しておく。
製品づくりなどのパートナーとの協力関係を深めておく。
■持続性を妨げる要因を整理しておく
持続性を妨げる要因として、どのようなリスクがあるか、一覧にしたい。
リスクの重み付け、発生確率、影響度を把握し、コストを見積もる。
■地域社会との繋がり
地域社会に密着して、愛される商品を継続的に売り続ける。
地元の花火で当社の名前を読み上げてもらうなど、地域のイベントに参加することが、企業の持続性をアピールになる。
工場見学を積極的に実施したり、社員の家族を招待して普段の仕事内容を知ってもらうようなイベントは、そのイベントに取り組むこと自体、ご支援先企業の持続性を高める。
このような自社イベントは、地域の方や家族の方々に印刷物を渡さなくとも、地域社会への良い「知的資産経営報告書」となる。
■ブレストの進行と、企業の持続性に関する3つの仮説
知的資産経営[IAbM]エヴァンジェリスト育成実践コース、8月4日午後の開催報告(2)です。
ブレーンストーミングの第3テーマは、知的資産経営にITをどう活用できるか、としまして、アイデアを出し合いました。
第3テーマ (敬称略)
ファシリテーター IAbM総研 主任研究員 熊谷 敦
メンバー 川居 宗則、平野 匡城、羽田 巧
■ブレストのテーマ: ITは知的資産の収益性向上や人的資産や関係資産の構造化にどう役立つか。
知的資産経営とIT(情報技術)の関係としては、例えば、知的資産の収益性向上のためにITをどう活用すべきか。また、人的資産や関係資産を構造資産にしていくためにITをどう使えるか、などです。
■第3テーマの検討成果
第3テーマのグループでは、ITを活用する多数のアイデアが集まりました。ファシリテーターからの提案と解説で、そのアイデアを、「人的資産」、「構造資産」、「関係資産」という知的資産の3つの切り口で整理しました。
発表は3名で、この切り口ごとに分担して、発表していただきました。
■人的資産とIT
人的資産については、[1] 社員のスキルの一覧、[2] 従業員のスキルアップの意思や見通し、[3] 社員の働いている様子などを、社内用にデータ整備していく、といったアイデアが集まりました。
■構造資産とIT
構造資産については、社内のナレッジ(知識,知恵)を会社の知的資産にしていくために、[1] 失敗事例をカード化し提案してもらう、[2] 手作業でどんなことをしているか一覧にする、[3] 社内wikiを作っていく、[4] 新しいプロジェクトで行った作業リストを共有する、などの社内情報の他、[4] コア技術に関連するニュースを自動収集する、といった最近のクローリング/スクレイピング技術の利用も提案されました。
また、[5] 知的資産へどう投資するかの検討案を、社内の管理会計と連動させる、という興味深いアイデアもありました。
[6] 経営課題を社内で共有することは、できていそうで、実際には難しさがあります。経営課題を社内で本当に共有するためにも、ITが役立ちそうです。
これらの情報管理の基本として、[7] IT資産の状況や、[8] 情報セキュリティーの状況自体、ITで管理していくことが提案されました。
■関係資産とIT
知的資産経営[IAbM]エヴァンジェリスト育成実践コース 8月4日午後 「経営戦略に役立つ知的財産や知識を、どう会社の資産にするか」講師鈴木健治の開催報告の1件目です。
この開催報告では、受講者、ファシリテーターと取り組んだブレーンストーミングと、その成果の一部をご紹介します。
ブレーンストーミングの第1テーマは、「収益性のある知的資産を見つけ出すための質問とチェック項目」です。
第2テーマは、「知的資本」で準備していましたが、第1テーマでの議論の盛り上がりを継続すべく、「収益性ある知的資産を見つけ出すために、ご支援先に作っておいてもらいたいリスト(一覧)」としました。
第1・第2テーマ (敬称略)
ファシリテーター 鈴木健治
メンバー
受講生 川居 宗則、平野 匡城、羽田 巧、安藤 健、神原 哲也、吉田 高宏
IAbM総研 主任研究員 熊谷 敦、堀内 仁
第3テーマを開催報告(2)、第4テーマを開催報告(3)として、別の記事でご報告します。
■ブレストのテーマ 収益性のある知的資産を見つけ出すための質問とチェック項目
第1テーマは、知的資産、特に、収益性の高い知的資産を見逃さず、話題にするためには、ご支援先の社長やご担当者に、どんな質問文をぶつけたいか、その質問項目です。
今回のブレーンストーミングは、オズボーンのオリジナルの方法を、三菱樹脂や高橋誠先生により日本風にアレンジされた「カードBS法」(高橋誠『問題解決手法の知識<新版>』(日経文庫 I22)pp.67-78)をベースにしました。
ファシリテーターがテーマを示し、「考える時間」に、静かに、1つアイデアを1枚のポストイットに記載します。
「発表する時間」に、全員が3枚や5枚書いた段階で、一人1アイデアずつ、テンポ良く順番に発表していきます。
事前に、ファシリテーターから、批判厳禁、自由奔放、量を求める、アイデアの共有、順番発表などのブレストのためのルール説明をし、その同意書にチェックしてもらいました。
■第1テーマの検討成果
収益性のある知的資産を発見するための質問として、正面から、裏面から、エピソードを聞き出すために、多彩なアイデアが出されました。
質問文を覚えておくと、ご支援先の社長や担当者と面談する貴重な時間内に、知るべき内容を聞き出すことができます。
様々な料理方法、整理の方針があるでしょうが、このご報告では、単純に一覧にします。色々な局面に応じた体系化ができるでしょう。
今回、IAbM総研の主任研究員である熊谷 敦先生、堀内 仁先生に加えて、中村 良一代表理事、坂野 直人代表理事からもアイデアを頂きました。
特にどのアイデアがどなたのものとは明記しませんが、具体的なエピソードを聴き出せそうな質問文は、経験豊富な方から頂ける傾向がありました。
支援者として知りたいことと、質問すべきこととは、違うということを、お考え頂きながら、下記のリストをご支援のためにご活用ください。
質問文そのものを、列記していきます。ニュアンスの違いや、聴き出せる質問文かどうかという差がありますので、意味が同じでも、両方掲載しています。
■商品・サービスについて
■覚えてもらう価値のある「本物の魅力」
あなたの会社の強みはなんですか?
他社との違い(差別化要因)はどんなところにありますか?
お取引先は貴社のどこを評価しているのでしょう?
優れた経営者であるほど、これらの質問に、大演説をしたくなるものです。自社の強みを10も20も次々と語り出し、見込客や、金融機関の担当者を閉口させてしまっていないでしょうか。
もちろん、熱く語る経営者はとても魅力的です。
しかし、この情報過多で、多忙な、21世紀において、社会の人々が、貴社について本当に覚えてくれるのは、「ひとこと」です。
その「ひとこと」は、グローバルな大企業であれば、ブランド・イメージかもしれません。例えば、自動車メーカーは、それぞれの企業や製品について、安全性、高品質、スポーティー、頑丈、高級、ファミリーなどのイメージを覚えてもらっています。
大企業であっても、この「ひとこと」を覚えてもらうために、膨大な予算を使い、企業努力しています。
個別の商品やサービスでは、カテゴリーに対して、すぐに思い出せるのは、普通は、3ブランドぐらいです。ビールのブランド、ペットボトルのお茶のブランド、いつものランチのお店、温泉宿、石鹸、通販サイト、クレジットカードなど、想起してみてください。一人が覚えられることには、限界があります。
取引先や消費者は、本当の魅力、本物の1番を覚えます。デザートの美味しいお店。誕生日割引がすごいクリーニング店。いつか買いたいカメラ。
お客さまにとって価値のある「自社の本物の魅力」を見つけ出し、アピールし、本物だとの信頼を得ることで、やっと、取引先や消費者に覚えてもらえます。
覚えてもらい、必要なときに思い出してもらえれば、購入などの行動を見込めます。覚えてもらい、自信を持った推奨してもらえれば、口コミが広がっていきます。
■自分の会社の魅力は何か?
自社の強み・弱みを見つけるには、SWOT分析があります。しかし、SWOT分析は、強みを書きましょうというだけで、どうやって自社の強みを見つけ出すのか、導いてはくれません。
経営書・ビジネス書をみると、差別化要因が重要だ、と書いてあります。競合との違いです。しかし、自社の差別化要因は何なのか、どのように分析すれば良いのでしょう。
以前は、貸借対照表をみて、重要な工場があるとか、設備機械がすごいとか、重機が何台あるとか、倉庫の広さがどうとか、自社の差別化要因を「目に見える、財務諸表に固定資産として計上されている資産」を見つければ良かったのです。
しかし、ソフト化した経済では、お金を出せば購入できる設備のみでは、差別化要因にならなくなりました。すぐに、競合との差がなくなってしまいます。
顧客満足を得ている要因がわかれば、自社の魅力も判るかも知れません。しかし、本当の顧客満足を知ることは、高度なアンケートを駆使しないとわかりませんし、企画・開発中の製品をどうするかは、未来の顧客に教えてもらうわけにもいきません。
■知的資産経営というフレームワーク
自社の魅力、自社の差別化要因のうち、特に、「見えない資産」を探し出し、活用していく経営を、知的資産経営(IAbM)といいます。
知的資産経営では、企業の見えない資産を、人的資産・構造資産・関係資産にわけてとらえます。また、業務プロセスなどの手順を洗い出して、そこから事業での強みを探し出します。とても手間のかかる作業ですが、一度この作業をしておくと、事業計画から、セールス・プロモーションから、資金調達計画から、人材募集まで、すべてに使える根源的なコンテンツを生み出すことができます。
さらに、我々は、創業スクールでの実践などを通して、その見えない資産をどのように顧客にとっての価値に結びつけるか、という「価値創造のストーリー」を考え出します。このストーリーこそ、事業計画を支えるビジョンであり、あっさりと金融機関に事業内容を納得してもらう共感を生み出します。
自社の「見えない資産(知的資産)」に着目することで、本物の自社の魅力を発見できることを、どうぞ覚えておいて下さい。特に、特許や商標などの知的財産権だけでなく、自社の人材や、自社がいままで築き上げた他社や社会との関係性を振り返って下さい。
その魅力(=知的資産)の特徴こそ、お取引先や見込客に覚えてもらうべき「ひとこと」です。
また、この知的資産経営の詳細につき、中小企業診断士の皆様向けに、実践的に学習できる育成コースがあります。
知的資産経営の方法論を学習できるのみならず、多数の経営者や他の士業との具体的な事例研究をし、資料作成の体験をすることができます。
ワークが主体であるため、人数限定のコースであることをご容赦頂ければと思います。
ご一緒に、知的資産を見つけ出し、価値を生み出すストーリーにしていく現場で、知恵を絞りましょう。
戦略合宿という言葉を聞いたことがあるだろうか。単なる社員旅行といったレクリエーションではなく仕事としての泊まり込みの会議である。今回はそのやり方の一例を紹介する。
・参加メンバーの決め方
人数は多くても10名程度まで。原則各部門の責任者を選抜するが、1、2名程度、期待の中堅、若手を入れるのもよい。合宿参加によって意識が変わり成長スピードが加速することが多々ある。
・議題と事前準備
議題は「経営計画の策定」、「年間活動計画の策定」、「新規事業計画」といった1日がかりで、また、全社的に検討すべき大きなものにする。効率よく進めるために、事前に議題を参加者に伝え、全社業績、部門別・品目別の売上、顧客数など基礎的な経営データを準備して臨むとよい。もちろん、知的資産経営の考え方に基づいて、各自が思う知的資産を洗い出してくるというのも良いだろう。
・日程の組み方
1泊2日、正味の会議時間は合計12~16時間程度で実施する。緊急の連絡が入らないよう、土日で行った方がよい。(平日であれば電話の電源を切らせた方が良い。)
1日目の夜はどんなに会議の進捗が遅れていても、全員で夕食をとり、飲み会やゲームなどちょっとしたレクリエーションを行うべきである。レクリエーションは幹部の仲間意識を高めるのに非常に役立つ。お酒が入らないレクリエーションであれば、合宿初日、到着後すぐの実施もよいだろう。私が経験した例では、到着直後に着替えて5キロのランニングという例もあった。初日の会議スタートから活発な意見が飛び交うことが期待できる。
・実施場所
日常業務から離れて気分を変えるために、会社から2~3時間以内で行けるホテルなどでやるのがおすすめだ。最近は企業の合宿・研修用のプランを用意しているホテルが増えている。そういったところを使えば、ホワイトボードやプロジェクタの貸し出し、wifi環境なども用意してくれる。
・実施頻度
年1回程度、会社の組織変更、中期計画策定と合わせてやるのがよい。
・進行方法
30分から1時間程度ごとに時間を区切って、課題と解決方法を検討していく。結論が出るまで議論を続けるよりは、時間内でベストの答えを出すという発想で取り組む方が効果的だ。
司会進行役は社外の人に依頼するのがよいが、それがかなわない場合は社内で社長以外の人が進行役を務める。社長がやるのは絶対NGだ。社長が一人で話し続けるような会議は避けるべきで、社員から意見が出てくるような雰囲気を作る必要がある。
全員が対等に意見を出すために、紙に書いてから発表させるという方法がある。効率が悪いように思えるが、書く作業によって、頭が整理され発言が短くなる。また、書いたものを発表することで、声の大きい人、立場が上の人が話し続けるという現象を避けることができる。
合宿の要領は以上である。
戦略合宿は私自身も参加メンバー、進行役の両面で数多く参加してきたが、やって後悔することはないと断言できる。合宿では議題についての検討以上に、経営理念、ビジョンの浸透・共有化、そして、社員の主体性を高めることが可能である。幹部・社員教育の機会としても大変有効なものである。
投稿者 | 佐々木 陽三朗
理事 | 鈴木 健治
■アマゾン社員の教科書15の指標のうち、財務による指標は5つのみ
企業経営は意思決定の連続です。
特に、マーケティングは、市場の動向を推測しながら、自社が提供できる商品・サービスが、どうお客様の満足や価値に結びつくか、継続的に見直す思考です。
長年の経験や勘による判断も重要ですが、組織的な意思決定では、データに基づく判断が求められます。
データに基づく経営に役立つ書籍として、マーク・ジェフリーの『データ・ドリブン・マーケティング』(ダイヤモンド社,2017年4月,以下、本書という)があります。本書は、アマゾン社員の教科書に採用されたことで有名です。
2017年のノーベル物理学賞は、アインシュタインが予言した重力波をLIGO(ライゴ)という観測施設によって初めて直接観測した国際チームを率いた3人の米国人研究者に贈られることになった。この業績により天文学の世界に「重力波天文学」という新領域が切り開かれ、我々人類はまたひとつ「目に見えないもの」を可視化する手段を手に入れたことになる。重力波によってビッグバンから1秒以内の様子も分かるようになるといわれている。
人類の科学の進歩は、このように「目に見えないもの」を「目に見えるもの」に変えていく悠久なるプロセスであった。その科学技術の行き着く先にあるのが「人工知能(AI)」であり、いまや人類は自らが作り出したこの怪物にその存在を脅かされようとしている。チェスは言うに及ばず、将棋や囲碁などの高度な知的ゲームですらAIにかなわなくなってしまった。英オックスフォード大学でAIの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授が2013年に予測した「あと10年で『消える職業』『なくなる仕事』」の筆頭には、「スーパーなどのレジ係」「レストランのコック」「受付係」などに交じって「会計士・会計監査役」という高度に知的な職種も含まれている。スーパーなのどのレジ係に至っては、すでに「Amazon Go」や一部のコンビニチェーンでも無人化の実証実験が始まっていて、予測の通り「仕事が消える」事態が現実になりつつある。
では未来の企業の従業員はすべてAIに取って代わられるのだろうか?科学者の間では芸術家やコンサルタントなど、クリエイティブな仕事はなくならないと予測している。彼らに共通する資質は何だろうか?それこそが、科学技術とは違った切り口から「目に見えないもの」を可視化する能力ではないだろうか。AIは膨大な過去のデータから高い確率で正しい答えを導きだしてくる。しかしながら、その対象となるのは「目に見えるもの」になったデータだけである。AIが必死に探しても見つけられないものが「見えている」人が真にクリエイティブな人だといえるのではないだろうか?「知的資産経営(IAbM)」というのは、「目に見えない価値」を可視化するプロセスである。AIが無視して通り過ぎた小さな領域にこそ、未来のビッグバンにつながる種子が埋まっている可能性がある。我々の研究は、それを見つけに行くための遥かなる旅になるのだ。
投稿者 | 坂野 直人
世間では、「おカネに色はついていない」と言われるが、そんなことはない。そんな風に考えるから、資金繰りの破綻を招く。そもそも単なる資金繰り手当ては事業資金調達とは言わない。それを是としている健全企業の経営者が居るなら、お目にかかってみたいものだ。そのような企業経営者は事業資金調達の何たるかを理解しておらず、資金が不足すれば調達、余れば運用というように、出口しか見ていないだろう。彼はおカネの使い方を知らないのである。そう、おカネの使い方を知っているのが事業資金調達、おカネの過不足に出口対応しか採らないのを単なる資金繰り手当てという。
子供に小遣いをせがまれた時のことを想像してみるといい。まず「いくら欲しいのか」と訊くかもしれないが、その後に必ず「そんな金、いったい何に使うのだ」と使い道を要求するだろう。単に、「今、お金が足りないから欲しいのだ」と言われたら「じゃあ、やらない!」と。そうではなく、「夏休みの自由研究で日本経済の現状を調べてみたいから、参考図書を買うのだ」なんて回答が返ってきたらどうだろう。「そうか、頑張れよ。将来、偉くなってお母さんやお父さんを楽にしてくれ」と励ますのではないか。但し、彼にそんな力がないなら「お前がそんなこと考えたって無駄だ」と一笑に付すかもしれない。
つまり、こういうことだ。単なる不足補充では、言下に否決。使い道が健全なら、実現可能性と果実の検討、しかる後にお小遣い支給という段取りが踏まれる。これはそっくりそのまま大人の経済活動に当てはまる。
日本経済は景気回復基調が続いているが、巷にその実感はなく力強さに欠けている。アベノミクスが目指しているとおり、新しい事業がどんどん興って新陳代謝が進む形で経済を力強く押し上げていくのが本来の成長の在り姿であるはず。新しい事業が興る為には、そこに資金が投入されて事業に活かされなければならない。資金調達はその為の事業投資決定でもある。事業を興そうということと、資金をどこにどういう形で投入しようかという話はほぼ同義であるとも言える。
事業のどの部分にどのように資金を投入するかという資金の使い道を資金使途という。資金使途を第一に考え、実際の資金調達に関連して発生しそうな様々なリスクを想定して対策を考え、それらを踏まえた上で適切な調達手段を選択する一連の手順を事業資金調達という。機会があれば、その極意を伝授したい。
投稿者 | 金森 亨
地域資源には、地域が持つ特有の地形・風土から産み出された“風光明媚な景観“や“自然の恵み・産物”及び伝統文化から創り上げられた“デザイン・技能”や“おもてなしの作法”がある。知的資産経営とは、カタチに表れない〜見えない固有の資産を蓄積し、有効に組み合わせ、収益を上げていくことを云う。「地の利を活かした資源の活用は、知的資産経営の重要課題」と考える。地域資源の活用により産まれる事業経営の有効性を提示する。
“風光明媚な景観”は、その特性を活かすことにより、従業員にとっての心地良い働きやすい職場づくりとなり、お客様に対しては魅力的な店舗づくりとなる。地域の恩恵を受けた立地環境を得ることができる。所有するモノ=設備の価値を高める。
“自然の恵み”は、地域で直接仕入れることにより地産地消の恩恵を受ける。旬な自然の産物が手短に確保できる。伝統文化から生まれた“デザイン・技能”は、工芸品として唯一無二の希少価値を齎す。“おもてなしの作法”は、独自に提供するサービスプログラムの特徴づくりとなる。どちらも仕入れルートの確保となり、提供する商品・サービスの価値を高める。
そして、地域資源を共有することによる事業連携が進む。地域を愛する人とのネットワークが広がり、知的資産づくりの中核となる事業推進のパートナーシップづくりが進む効果が期待される。人的資産の増強となる。地域資源が持つ魅力を謳い、地域活性化に寄与することとなり、その事業者の地域での評価が高まる。共有するテーマを掲げることにより同志が増え、事業連携が進む。地域のブランド力を高め、育てるストーリーづくりに参加する。地域ブランドが持つ価値を共有することができる。地域を愛する〜支える人々との強固な絆が出来上がる。そして、貴方の事業を愛していただくファンづくりへと進展する。情報資源の増強となり、情報の受発進力を高める。
地域活性化に寄与することとなり、地域に貢献する事業を進めるという大義が立ち、行政の資金補填や地元信金の支援が得やすくなる。また、クラゥドファンディングを運用した地域応援ファンドが産まれることも期待される。資金増強支援の機会が広がる。
事業運営者にとって、地域資源の有効性が期待できる要素は、①立地環境を活かした場づくり②地産地消の仕入れルートづくり③唯一無二の商品価値づくり④特有の文化を継承したサービスメニューづくり⑤資金支援を得る機会の確保⑥商品・サービスのブランド価値づくりと考える。事業経営において、人・モノ・カネ・情報…等、経営資源の増強になるのではと思う。いかがでしょうか?
投稿者 | 堀内 仁