戦略合宿のすすめ

戦略合宿という言葉を聞いたことがあるだろうか。単なる社員旅行といったレクリエーションではなく仕事としての泊まり込みの会議である。今回はそのやり方の一例を紹介する。

 

・参加メンバーの決め方

人数は多くても10名程度まで。原則各部門の責任者を選抜するが、1、2名程度、期待の中堅、若手を入れるのもよい。合宿参加によって意識が変わり成長スピードが加速することが多々ある。

 

・議題と事前準備

議題は「経営計画の策定」、「年間活動計画の策定」、「新規事業計画」といった1日がかりで、また、全社的に検討すべき大きなものにする。効率よく進めるために、事前に議題を参加者に伝え、全社業績、部門別・品目別の売上、顧客数など基礎的な経営データを準備して臨むとよい。もちろん、知的資産経営の考え方に基づいて、各自が思う知的資産を洗い出してくるというのも良いだろう。

 

・日程の組み方

1泊2日、正味の会議時間は合計12~16時間程度で実施する。緊急の連絡が入らないよう、土日で行った方がよい。(平日であれば電話の電源を切らせた方が良い。)

1日目の夜はどんなに会議の進捗が遅れていても、全員で夕食をとり、飲み会やゲームなどちょっとしたレクリエーションを行うべきである。レクリエーションは幹部の仲間意識を高めるのに非常に役立つ。お酒が入らないレクリエーションであれば、合宿初日、到着後すぐの実施もよいだろう。私が経験した例では、到着直後に着替えて5キロのランニングという例もあった。初日の会議スタートから活発な意見が飛び交うことが期待できる。

 

・実施場所

日常業務から離れて気分を変えるために、会社から2~3時間以内で行けるホテルなどでやるのがおすすめだ。最近は企業の合宿・研修用のプランを用意しているホテルが増えている。そういったところを使えば、ホワイトボードやプロジェクタの貸し出し、wifi環境なども用意してくれる。

 

・実施頻度

年1回程度、会社の組織変更、中期計画策定と合わせてやるのがよい。

 

・進行方法

30分から1時間程度ごとに時間を区切って、課題と解決方法を検討していく。結論が出るまで議論を続けるよりは、時間内でベストの答えを出すという発想で取り組む方が効果的だ。

司会進行役は社外の人に依頼するのがよいが、それがかなわない場合は社内で社長以外の人が進行役を務める。社長がやるのは絶対NGだ。社長が一人で話し続けるような会議は避けるべきで、社員から意見が出てくるような雰囲気を作る必要がある。

全員が対等に意見を出すために、紙に書いてから発表させるという方法がある。効率が悪いように思えるが、書く作業によって、頭が整理され発言が短くなる。また、書いたものを発表することで、声の大きい人、立場が上の人が話し続けるという現象を避けることができる。

 

合宿の要領は以上である。

 

戦略合宿は私自身も参加メンバー、進行役の両面で数多く参加してきたが、やって後悔することはないと断言できる。合宿では議題についての検討以上に、経営理念、ビジョンの浸透・共有化、そして、社員の主体性を高めることが可能である。幹部・社員教育の機会としても大変有効なものである。

 

投稿者 | 佐々木 陽三朗